研究内容


多様な応用的利用に有用なD-アミノ酸オキシダーゼの取得

D-アミノ酸オキシダーゼ(DAO)はD-アミノ酸の検出・定量、抗生物質生産、統合失調症や筋萎縮性側索硬化症(ALS)といった神経性疾患の診断・予防・治療、ガン治療など、多様な応用が期待されている酵素です。したがって、高活性・高熱安定性・広基質特異性を有するDAOが強く求められています。当研究室では、これまでの知見から、未だ解析のなされていない好熱性真菌DAOが応用的利用に有用なこれらの特性を兼ね備えるのではないかという仮説を立て、発酵堆肥からDAOを有する好熱性真菌Rasamsonia emersonii YA株を単離し、そのDAO(ReDAO)の酵素学的諸特性を解析しました。その結果、ReDAOは高活性・高熱安定性・広基質特異性を有する、多様な応用に極めて有用なDAOであることが分かりました。現在、ReDAOの熱安定化および基質特異性メカニズムを解析しています。

新潟県乳酸菌の収集とD-アスパラギン酸高生産性乳酸菌の探索

近年、哺乳動物においてD-アミノ酸の1つであるD-アスパラギン酸(D-Asp)が見いだされ、その生理効果が明らかとなってきました。ある種の乳酸菌は細胞壁構成成分としてD-Aspを使用しています。よって、D-Aspを高く生産する乳酸菌はD-Aspの生産に有用であると考えられます。また、乳酸菌は人体に良い影響を与えるプロバイオティクスとして注目され利用されています。そのため、D-Asp高生産性乳酸菌はプロバイオティクス効果に加え、D-Aspの生理効果も兼ね備え持つと考えられ、機能性食品への応用が期待されます。当研究室では、D-Asp高生産性乳酸菌のスクリーニング方法の開発、およびその諸特性解析を行っています。

酵母D-アスパラギン酸オキシダーゼ(DDO)発現制御機構の解析

本研究室では,DDOを多量に生産する酵母Cryptococcus humicola UJ1株を土壌から単離し,そのDDO(ChDDO)の酵素学的諸特性や生理的役割について解析を進めてきました.本酵素は D-Aspの存在により特異的に誘導発現されることが示されています。また,真菌における類似の酵素D-アミノ酸オキシダーゼ(DAO)に関してもD-アミノ酸による誘導発現が観察されています.このことから,D-アミノ酸による遺伝子誘導発現機構が生物界に広く存在していると考えられていますが,そのメカニズムはほとんど明らかにされていません.本メカニズムの解明は,D-アミノ酸,DAOやDDOの機能解明の一助になることが期待されます.現在,細胞外アミノ酸の取り込みを担うタンパク質であるアミノ酸パーミアーゼとChDDO遺伝子誘導発現の関連性について研究を進めています.

DDOを用いたD-Aspバイオセンサー素子の開発

近年の研究により、D-アスパラギン酸がヒト脳内で神経伝達に関与し、精神神経疾患と密接に関わることが示唆されています。それに伴い、D-アスパラギン酸の検出・定量技術が重要とされ開発が進められています。しかし、従来の煩雑な操作を必要とする検出・定量方法では、生体内のD-アスパラギン酸の動態をモニタリングすることが困難です。そこで本研究室によって見出されたD-アスパラギン酸に特異的な酵素である酵母Cryptococcus humicola UJ1株由来のD-アスパラギン酸オキシダーゼをバイオセンサー素子とするバイオセンサーを用い、従来の方法の欠点を解決する新規なD-アスパラギン酸検出・定量方法の開発に挑戦しています。現在、開発したバイオセンサーを用いたD-アスパラギン酸の検出に成功しており、今後はバイオセンサーの特性を解析する予定です。

酵母Rhodotorula gracilisカロテノイド高生産株の開発

カロテノイドは自然界に広く存在する色素化合物です。また、カロテノイドは高い抗酸化作用を持つことから、医薬品や食品の安全な着色料として用いられています。この様な状況から、カロテノイドの効率的かつ経済的な生産技術の開発が求められています。現在、商業的なカロテノイド生産は野菜からの抽出や化学合成により行われています。 しかし、植物からの抽出では生産量が安定しないことや、 化学合成ではハロゲン系化合物や重金属類を使用するため、様々な問題があります。したがって、近年、微生物による生産法が注目されており、酵母のRhodotorula gracilisは細胞乾燥重量の約75%のカロテノイドを生産することが示されています。しかし本酵母を用いたカロテノイドの商業生産にはさらなる生産量の増加が求められています。 そこで、本研究では酵母R. gracilisを用いて、遺伝子組換えによってさらなるカロテノイド高生産株の開発を行っています。

含塩素有機リン酸トリエステル類の微生物分解システムの開発

本研究室では、難分解性で、様々な毒性を有する含塩素有機リン酸トリエステル類という物質を分解する微生物の単離に成功しました。現在はその微生物が持つ酵素の諸特性や生理機能の解析を行っています。